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2005-12-17

放送局の放送区域は誰がどう決めているか

2005-12-14にコメントをつけた「放送区域は誰がどう決めているのか」、意外と知らない方が多いようなので説明します。

結論を言えば、総務大臣が電波法第14条第3項に基づき無線局免許状に記載することにより決めます(これは無線技術士の国家試験に出ます)。それは、たいてい第6条第2項に基づき申請書に記載されたものと同じですが、それをわざわざ免許状にも記載するということは、免許にあたり申請書に記載されたものを審査して、妥当と認めたからこそ免許状にも記載するわけです。

たまに、放送局の開設の根本的基準第2条第11号に短波放送を行う放送局の放送区域が定義されていないから短波は放送区域が決まっていないなどと乱暴なことを言う人がいますが(杉浦座長もそのようですが)、これは誤り。「中波放送(中略)については、次に掲げる区域をいう」と規定しているだけで、ここに書かれていない放送について放送区域が決まっていないわけではありません。法律を読まずに省令を読むから誤解するのであって、法律で免許状に記載すると規定されているわけですから、あくまでも免許状に記載されたものが総務大臣がその放送局に対して認めた放送区域であり、放送局の開設の根本的基準第2条第11号の規定は中波放送などについてその導出方法を定めているだけ。

ちなみに、免許状に記載された放送区域は電波法第25条第1項に基づき一般にも公表されています。これは、民間における電波利用の一層の円滑化を図ることを目的として公表されているものであり(総務省報道資料)、他の無線局や高周波利用設備は、その区域にその放送の受信者がいることを想定して運用することが期待されています。

《23:55追記》
ラジオNIKKEIこと日経ラジオ社の場合はどうなっているか、PLC(高速電力線搬送通信)問題を考えるで紹介されています。同局の場合、電界強度30dBμV/mを基準とした放送区域が総務大臣に認められて免許されているということですね。
ターゲットエリアと時間を絞って周波数を使う国際放送とは異なる、というのはこちらも勉強になりました。24時間放送を標榜してても実際やってないぢゃないかという落ちもありますが、実際に24時間までいかなくても昼夜をまたがって放送していることには違いないので、リスナーが電離層の変化に対応せねばならないことは同じです。手許のラジオの場合、「NSB」のボタンを押しさえすれば3/6/9MHzの中から最良の周波数を選んでくれるのでそう手間は掛かりませんけど。

posted at 00:00:00 on 2005-12-17 by jr9mfk -

コメント

ohishi さんによるコメント

↑ スゴイ!投稿時間は,0時ピッタリですよ!

その規定を電波環境課が理解しているかどうかが知りたいですね。杉浦氏が理解していないことは,理解しました。
2005-12-17 01:31:53

石崎 亮史朗 さんによるコメント

建設的且つ事実に基づく議論は勉強になりますねぇ。つくづく実感します。
2005-12-17 20:55:44
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