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2006-04-28

眼前の小利 -- 道をひらく(松下幸之助 著)より

 一匹狂えば千匹狂うというが,これは何も,馬だけにかぎったことではない。人間でも,一人がちょっとした心得ちがいをしたならば,それに引きずられてまた多くの人が道を誤る。ことに,それが私欲にかかわった問題となると,とかく人の判断は狂いやすい。そして眼前の小利にとらわれる。
 眼前の小利にとらわれるな,とは昔からのことわざであるが,小利にとらわれては,結局は損をする。その損も,単に自分だけで終わるならまだ罪は軽いが,今日の世の中のように,人と人と,仕事と仕事とがたがいに密接につながっているときには,一人の損がみんなの損となり,その心得違いは大へんな結果を生む。
 こんなことは,いまさら事新しくいう必要もないのだが,この世の中,やっぱり一部の人のちょっとした心得ちがいからいろいろの問題がひき起こされていることを思えば,眼前の小利にとらわれるなと,何度も何度もくりかえしていいたくもなってくる。
 別にむつかしいことをいうつもりはない。またいっても詮ないことだとも考えてもいない。こんなことは結局,人の良識に訴えるのが根本で,だから何度も何度もあきずにいいたいのである。

posted at 23:44:04 on 2006-04-28 by ohishi -

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