HF-PLC Watching Site

2006-08-20

PLC導入を阻む電力会社の戦略

電波法施行規則第44条第2項第1号に「搬送式インターホン」が制度化されています(使用周波数は10?450kHz(同第46条の2第2号))。

ただ、最近はほとんど製造販売されていません。インターホン業界トップのアイホンも、弊社も随分前に製造を止めてしまいましたと言っています。

ところが、あるところにはあるもので、中国製の搬送式インターホンをつい最近導入したとの記述をブログで見つけました。でも、コンセントによっては使えず、当初予定とは別のところに挿して使っているらしい。通販サイトでも断っている「単相三線式(200V電源)は配線によってはご使用になれない場合がございます」という奴でしょう。

思い起こせば搬送式インターホンなるものが流行ったのはもう四半世紀も前。その後、エアコンの普及(もっとも、最近の家庭用エアコンはほとんど100Vなので無関係になった)と電力会社の200V機器普及の思惑もあって、我が国の家庭では単相三線式がほとんどになってきています。もともと200V以上で給電している欧州とは状況が違います。

では、電力会社やメーカーがPLCのために単相二線式に戻すよう動くかといえば、そんなことはありません。電力会社は今日も200V機器の普及活動を行っています。自社が儲かるかどうかわからないPLCより、ガス会社などの売上げを奪える200V機器の普及に走るのは電力会社として当然の戦略だし、電機メーカーだってパロマやリンナイなどのガス機器メーカーの売上げを奪える方が良いに決まっています。

それなのに、厳しい(しかし無線通信保護には不十分な)許容値案が示されると「同相同一でない回路では(通信が)ほぼ不完全になる」と泣きごと(高速電力線搬送通信設備小委員会(第4回)議事録(pdf)3ページ)。そりゃ単なるアナログ変調のインターホンと違い、高度な信号処理が可能なPLCでは出力をベラボーに上げれば通信できるかもしれないけれど、それはあくまでも洩れ電流による通信。つながらないように作られた回路で無理矢理通信を行おうとするがために多大な影響を受ける無線側としてはたまったものではありません。

結局のところ、PLCを導入しても使えるコンセント・使えない(あるいは速度がほとんど出ない)コンセントが混在し、消費者に混乱を招くだけだと思うのですが。アイホンだって、使える場合があることを知りながら会社の信用維持のためには撤退、という大人の判断をしたわけですし。

posted at 09:25:16 on 2006-08-20 by jr9mfk -

コメント

素朴なハム さんによるコメント

本日、ハムフェアのJARL技術シンポジウム「アマチュア無線をとりまく電波環境」という講演を拝聴してきました。今回で3度目の参加です。PLC、UWB、433MHz帯電子タグ等と、年々ハムにとって厳しい環境になっていく様子が感じられます。特にPLCの問題はハムにとって深刻な方向に向かいつつあるようです。PLCに関してJARLは電監審で「原案に賛成」の苦渋の選択をしたと、シンポジウムの場で報告があました。これに対して厳しい質問がだされておりました。私はPLCに反対ですが、一旦ゴーの方向に向いてしまった以上、私の考えるところは、「少なくともハムの発射する適正な電波によりPLC設備が障害を受けたときは、第一義的にはPLC側で解決する義務がある」という法的根拠を確保するべきであるということです。これが無ければ、やがて日本のアマチュア無線は滅ぶのではないかと危惧します。3回目の参加でひしひしと感じました。
2006-08-21 00:12:31

1尼 さんによるコメント

とっくに滅んでるでしょうに

今さらナニ言ってんだか・・・
2006-08-21 00:50:58

ohishi さんによるコメント

賛成してしまえば,その後問題が起きても文句は言えません。後々のことを考慮した行動にするべきですね。JARLもPLC側も。
2006-08-22 00:43:01

石崎 亮史朗 さんによるコメント

短波帯PLCの影響を蒙るのは、アマチュア無線だけではありません。その他の関係者もお忘れなく。
2006-08-28 18:53:00
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