HF-PLC Watching Site

2006-09-18

200Mbpsモデムを接続した電力線からの漏洩データ公開

PLC Forumの2006年8月28日公表の情報として,ポーランドで開催された18th Wroclaw International EMC Symposium (June 28-30, 2006) と中国で開催されたFourth Asia-Pacific Conference on Environmental Electromagnetics (August 1-4, 2006)でのPLCforum AssociationであるMichel Ianoz Swiss Federal Institute of technology of Lausanne名誉教授による報告が掲載されています。

同報告によると,18th Wroclaw International EMC SymposiumではPLC開発者,EMC関係者,そして標準化関係者の間で激しいやりとりが行われたことが分かります。ノーマルモード電流からコモンモード電流への変換に関してはまだ未知の部分が多いとする懐疑的意見に対し,これまでに適用していない技術(!)を用いれば問題を解決できるとする推進側意見が出された模様です。

また中国での会合では,North China Eletcirc Power Universityの研究者による電力線からの放射電波の測定データが提示されています。接続したモデムは,メーカー名は不詳ですが,14Mbps,45Mbps,200Mbpsの3種が使われました。具体的なデータとしては14Mと200Mのモデムを接続した時の電界強度(距離3m)が示されており,設計通信速度が大きいほど漏洩電界が大きいとの報告を行っています。特に200Mbpsの場合は,最大電界強度が70dBμV/mを越える等,FCC Part15の許容値も超える電界強度が測定されています。これは背景雑音より30dB程度高い数値となります。もちろん屋内でこのような漏洩が発生すれば,短波帯の無線通信は不可能となります。

注目すべきことは,45MbpsのPLCモデムがstand byの時の漏洩電界強度が,背景雑音より20dBほど高い周波数帯域があることです。なぜそうなっているのか,その理由は示されていません。

posted at 10:49:13 on 2006-09-18 by ohishi -

コメント

かぜ さんによるコメント

パブリックコメントを良く読んでいるのですが、総務省、どうも混信の範囲を狭めてきています。混信とはいわず、「有害な混信」としています。また、「既存の電波利用に妨害を与えない電界強度を決めることであった」事実は無い、ともしています。
 つまり、妨害が出ない値なのではなく、妨害は許容すべきだということです。これは大転換です。やはり絶対に製品が出ることを阻止しなければ、という気がしてきました。実機で、どれだけの妨害が出ても、飛行機でも落ちない限り、有害ではないと言われて終わりになります。
2006-09-19 04:31:56

ohishi さんによるコメント

かぜさん:
 有害な混信とは無線通信規則に言うharmful interfereceに対応する訳語であると思います。無線業務の運用に継続的に障害を与えるものを差し,無線業務に対する保護基準を超える干渉(混信)を指します。
 今回のPLCに対する許容値は,ITU-Rの勧告が示す上記保護基準値を大幅に(数桁も)超えるものになるために問題視されている,ということです。
2006-09-19 07:49:39

jr9mfk さんによるコメント

従来から適用するとしてきた電波法第101条なり、(今回いきなり持ち出した)無線設備規則第64条の2は従来から変わらず、研究会や審議会でもこの議論を避けてきました。つまり、当初からe-Japan重点計画-2004に言う「実用上の問題がないことが確保」を無視するつもりだったのでしょう。EUのEMC指令は「実用上の問題がない」に近い表現なのですが、我が国ではそれよりも大きな影響を許容していることになります。

「実用上の問題がないこと」は、単に技術基準を策定するのみならず執行面での確保を求めていると解され、そのためには電波法第101条の改正が必要なはず。もともと政権というものは国会を無視しがちな傾向にあるものですが、今回は政権が決めたe-Japan重点計画-2004に反してまで国会を無視しようとしている点で、きわめて異様な状況です。
2006-09-19 07:55:22

かぜ さんによるコメント

やはりノイズは出る。しかし共存案であれば、共存できる。つまり有害な混信の要件である「著しく」阻害はされない。と言っているような気がします。つまり妨害の申告をしても101条にも64条の2にも当たらないということです。そうなりそうな気がします。
2006-09-20 03:01:10
コメント4件(追加)

コメント追加