総務省は10月17日に,
去る7月27日に開催された情報通信審議会 情報通信技術分科会 ITU-T部会 電磁防護・屋外設備委員会(第19回)議事概要を公表しました。
この議事概要には,5月22日から26日に大阪で開催されたITU-T SG5で議論された勧告ITU-T K.60に関する結果が記録されています。K.60は,電力線を含む電気通信網から無線業務に干渉があった場合に干渉値を下げるように指導する目標レベルが規定されています。
「勧告K.60(電気通信網からのエミッションの制限値と測定法)の規定値の改定が主な審議内容となった。欧州郵便電気通信主管庁会議(CEPT)で提案されている値に変更するか、現状の値のままで行くかについて、質問状を回章し意見を求めることになった。また、日本における30MHzメガヘルツ以下の電磁環境測定例も紹介し、今後も審議を継続していくことが了承された。」
この質問状に対し総務省は,K.60に記述されている目標レベルを12dB下げる(厳しくする)ことに賛成意見を投じています(ITU-T SG5の文書TD 368 rev1 (GEN/5)より)。厳しくした場合,K.60が定める電界強度目標値は,f= 1-30MHzでは28-20log(f) dBμV/m @3m (BW=9 kHz, QP値)となります。
これを踏まえ,電磁防護・屋外設備委員会は,9月にジュネーブで開催されたITU-T SG5会合への対処として,
「電気通信設備からの電磁放射については、PLCからのエミッション問題を中心にCISPR、ITU-R SG1からも注目されている。今回会合では、勧告K.60(電気通信網からのエミッションの制限値と測定法)の規定値改定が審議の中心となるため、日本の検討状況を踏まえ、不合理なものとならないように慎重に対処する。」
ことで合意しています。”不合理なものとならないように慎重に対処”とはK.60の目標レベルを下げることに反対する意見に対し,下げることに同意するよう働きかける意味と考えられます。
理屈には理屈で対抗することはできても、事実を曲げることはできないわけですね。